ビブリオバトル ー全国大学ビブリオバトル2018ー
ビブリオバトルをご存知だろうか。
ビブリオバトルとは、言ってしまえば本の紹介のプレゼンテーションゲームだ。
ビブリオバトル公式ウェブサイト: 知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト
子供の教育としても注目されている。
平成30年4月、文部科学省 第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/__icsFiles/afieldfile/2018/04/20/1403863_001_1.pdf
でも記載されている。
読書不足が問われる今日、このようなゲームを通じて少しでも本に興味を持ってもらえればよいなと思う。
ビブリオバトルは、試合である以上、ルールが結構厳格に決まっている。
(ビブリオバトル公式ウェブサイトより)
発案者である谷口忠大教授(立命館大学情報理工学部)によると、5分というところがポイントだそうだ。
小学生などが行う3分のものは、ミニビブリオと呼ばれる。
また、投票基準は「どの本が一番読みたくなったか?」であり、決してプレゼンテーションのうまさではない。
初めて本格的なビブリオバトルを観戦したのだが、そのルールの面白さを存分に味わうことができた。
プレゼンが上手とは言えなくとも、自分の選んだ本に対する思いと、その本の魅力を存分に発揮出せれば、逆転勝利もあり得ることがわかった。
試合後の懇親会でも、コミュニケーション能力が高い人ばかりということではなかった。
あくまでも「読みたい本」を決めるゲームであって、「人」にはスポットが当たっていない。
これがビブリオバトルの魅力である。
そして今回、全国大学ビブリオバトル2018大阪決戦
を見てきた。
読売新聞が弾丸バスツアーを企画してくださり、タダで見に行くことができたのだ。
感想を先に述べると、とても面白かった。
こんなよい企画を用意してくださった読売新聞の方には感謝しかない。
大手町の読売新聞本社には0時集合だった。
(夜の大手町)
僕のような大学1年から就職が決まった4年生、さらには主婦の方や小中学校の先生までいらっしゃった。
皆さん本当にお若い。
もともと40人の枠を用意していたそうだが、集まったのは20人弱。
おかげさまで、高速バスでは2人席を一人で使わせて貰った。
高速バスは結構寝れない。
いつもはカーテンの隙間から外の景色を覗いたりして時間が経つのを待つのだが、今回はぐっすり寝れた。
腰を休めるためにPAを歩いていると視線を感じる。
不思議に思いつつトイレに入ると、髪の毛が爆発した僕の姿が。
右側だけ重力に逆らっていた。
あれはすごかった。写真を撮っておけよかった。
立命館大学いばらきキャンパスはとても綺麗だった。
茨城ではない。茨木だ。
自分が大阪に住んでいた頃からずっと工事をしていたが、中に入ったのは初めて。
公園やカフェなど、地域の人々の憩いの場となるようなキャンパスだと思った。
スタバが入っているのは流石と言ったところ。
うちの大学のカフェのコーヒーはあまり美味しくないので、スタバにしてほしい。
大会前に、先述の谷口教授による特別教室が開かれた。
一番記憶に残った言葉は、「ビブリオバトルでは、人を通じて本を知ることができ、本を通じて人を知ることができる」ということだ。
人に紹介された本は読みたくなるし、その人がどんな種類の本を好きなのかによって人柄も見えてくるということだ。
Exactly.
その後、大会が開かれた。
参加者にはうちわが配られ、一番読みたいと思った本に投票する。
会場は1000人規模の大きなホールで開かれたものの、バトラー(発表者)はあまり緊張したそぶりを見せることもなく、堂々と本のアピールをしていたのは流石といったところ。
優勝したのは「夜市」
全国大学ビブリオバトル、真壁詩織さんが最高賞 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
妖怪の経営する、なんでも買える夜市に迷い込んだ兄は、才能を得るために弟を売ってしまう。
弟はこの世から消えてしまうが、夜市の存在を思い出す度に弟を思い出す兄。
そして今日、ついに兄は弟を取り返しに夜市へ…
という流れらしい。
ホラー文庫ではあるものの、最後の結末に驚かされたというバトラー情熱的な訴えが我々観客に響いた。
しかし、決勝戦は本当に接戦だった。
バトラーの情熱溢れるビブリオで、どれも読みたくなる本ばかりだった。
準優勝は注文の多い注文書。
この本を宣伝した女性は、観客を巻き込むとても面白いビブリオを披露した。
注文の多いと聞くと、真っ先に浮かぶのは宮沢賢治の「注文の多い料理店」だが…
審査員の特別賞は、 Good Luck。
- 作者: アレックス・ロビラ,フェルナンド・トリアス・デ・ベス,田内志文
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2004/06/22
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就活生であったバトラーは、30社以上に落ちて家に引きこもっていた際、親から読み聞かせてもらっていたこの本の存在を思い出し、これを読んだという。
この本のお陰で家から出れたそうだ。
親から子へ手渡したい、将来の子どもたちに読ませたい本だという。
他にも決勝戦まで残った名誉ある本たちを載せておく。
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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最新の本もあれば、結構古い本もある。
本好きならではの視点で選ばれた、どれも素晴らしい本ばかりである。
僕は何冊かhonto honto:書店、通販、電子書籍のハイブリッド総合書店【共通hontoポイント貯まる】 で購入した。
決勝まで進めなかったものの、面白そうだと思って買った本がある。
「タタール人の砂漠」である。
向上心を持った青年が派遣されたのは、僻地の砦。
砦の向こうにはタタール人がいて、彼らから国を守るのが青年の役目。
しかしタタール人は今まで一度も攻めてきたことはない。
青年は最初は何度もこの仕事をやめようと考えていた。
ここに居ては出世などできないのだから。
しかしいつのまにか、この仕事を、砦を好きになってしまった。
そして歳をとって街に帰るまさにその日、タタール人がやってくる。
果たして彼のとった行動とは。
なんてバトラーが宣伝していた。
バトラーは岩波の小説を片っ端から漁って、数百冊目でこの本に出会ったそうだ。
僕は心を奪われた。
買ってしまった。
届くのが楽しみだ。
本は素晴らしい。
知識も心も満たしてくれる。自分の世界を作ることができる。
活字を読まない人が増える中、メディアが文字から映像へと移行する中、少しでも活字の魅力に気づいてくれる人が増えればいいなと思う。
活字の宣伝を、この活字ブログでやってもあまり意味はないのかも知れないが…
以上。